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ホームイベントシンポジウム METI-RIETIシンポジウム 日本の企業統治構造改革について考える:イギリスの経験からの教訓 (議事概要) 印刷 開催案内・配付資料 議事概要 イベント概要 日時:2014年10月16日(木)14:00-16:30(受付開始13:00) 会場:RIETI国際セミナー室 (千代田区霞が関1-3-1 経済産業省別館11階1121) 日本の企業統治の在り方が大きく変わろうとしている今、英国の経験が大いに参考になる。そこで、本シンポジウムではオックスフォード大学サイード経営大学院教授コリン・メイヤー氏をお招きし、今後の日本の企業統治構造改革について考えた。基調講演では、コミットメントに基づく新たな企業理論を前提にイギリスの経験が取り上げられ、日本の企業統治構造改革について提言がなされた。その後、ディスカッションが行われ、イギリスと日本の企業統治構造の相違点に触れながら、ステークホルダー重視と株主重視のバランスを取る重要性、長期株主と短期株主の役割、インサイダーとアウトサイダーの機能の調整などについて議論が展開された。 議事概要 開会挨拶 宮島 英昭 (RIETIファカルティフェロー / 早稲田大学商学学術院教授 / 早稲田大学高等研究所所長) 現在、アベノミクスの一環として統治構造改革が経済成長との関連で注目されている。スチュワードシップ・コードが公表され、会社法改正が実現し、現在、日本版コーポレートガバナンスコードが策定中である。日本の企業統治構造改革を考える上で、イギリスの経験は非常に参考にすべきケースだといえる。そこで、オックスフォード大学サイード経営大学院のコリン・メイヤー教授の来日を機に、日本の統治構造改革についてどのような教訓が得られるかを考えようと、本シンポジウムを企画した。先生は、昨年公刊された著書『ファームコミットメント』の中で、コミットメントという概念で新たな企業理論を展開されており、それを基に日本の統治構造改革への示唆をご講演いただく。 基調講演:「日本の企業統治構造改革:英国、米国その他の事例に学ぶ」 コリン・メイヤー (オックスフォード大学サイード経営大学院教授) 世界金融危機後、企業統治の抜本的改革を求める声が世界的に高まった。この講演では、まず、企業統治に対する従来の考え方から始め、次に、グローバル、英国、欧州、米国の経験について話し、最後に日本での改革の動きと教訓、将来の方向性について述べたい。結論から言うと、企業統治は企業業績にとって決定的である。企業統治は取締役会の問題にとどまらず、企業の所有構造、当事者へのコミットメント、支配権に関わる。規制によって統治は促進されるが、過剰な規制は逆効果になる恐れがある。日本では外国人持株比率の上昇によって企業業績にプラスの影響が見られるため、日本は安定株主を維持しつつ、取締役会の責任を明確にすることで外部の株式保有を促進すべきである。 伝統的な見方は、企業統治とは株主のために業績を改善することであり、取締役会は企業価値を最大化する責任を負うと考えている。この見方は、企業統治の規則やスチュワードシップ・コード、株式市場の上場規則、テイクオーバー・コードに関する政策提言に反映されている。 パート1:グローバルな経験 アジア金融危機勃発後、国際通貨基金(IMF)と米国財務省は改革にむけた提言を行った。この危機の元凶は「縁故資本主義」(同族企業や国営企業の割合が高い)と日本の株式持ち合いであるといわれ、米英型の分散的な株主所有構造が推奨された。幸運なことに、このうさんくさい助言は採用されずに済んだ。むしろ、米国ではドットコム・バブルと不正経理スキャンダルが発生し、これを機に企業統治の基準強化と会計規則の改善が行われ、サーベインズ・オクスリー法(企業改革法)が成立した。 世界金融危機により、企業統治に対する標準的な見方は正しくなかったことが示された。最良の企業統治を行っていた企業が最も多く破綻した。企業統治はむしろ、経済的繁栄や起業家精神、イノベーション、成長、価値創出、公正な社会の構築促進に軸足を置くべきである。また、企業統治は、所有権や支配権、企業によるさまざまな関係者に対するコミットメントに関わっている。 パート2:英国の経験 1992年、キャドバリー委員会は、「コンプライ・オア・エクスプレイン(遵守するか、しない場合は理由を説明せよ)」という概念を提示した。これは、規則は必要だが、企業は逸脱を許されるという意味であり、その後英国の最初のコーポレートガバナンス・コードとなり、スチュワードシップ・コードへとつながった。スチュワードシップ・コードは、機関投資家を対象とする推奨事項を規定している。さらに、テイクオーバー・コードと並び、すべての企業に関わる株式市場の上場規則が定められた。ロンドン証券取引所ではデュアル・クラス株式の発行は認められておらず、買収防衛策も認められていない。コーポレートガバナンス・コードは、リーダーシップ、取締役会の有効性、説明責任、報酬、株主との良好な関係について定めている。スチュワードシップ・コードは、スチュワードシップ方針、利益相反の回避、モニタリング、介入、協働、議決権、報告に対する推奨事項を規定している。 これらのコードが、企業とその所有者に詳細なガイダンスを示しているにもかかわらず、英国では非上場化の動きが進展している。ロンドン証券取引所の上場企業数は、1999年には2194社だったが、2014年は932社に減少した。米国の上場企業数は1997年以降、38%減少した。株主所有構造も変化している。1989年には年金基金と保険会社による英国株式の保有比率は49.2%だったが、2010年には13.7%に低下した。同時期に個人の保有比率は20.6%から11.5%に低下し、外国人投資家とヘッジファンドを含むその他金融機関による保有比率は13.9%から57.2%に拡大した。 企業買収市場は、業績不振の企業に対する規律付けと見なされているが、英国のみならず世界中で企業支配権はすでに消失している。ヘンリー・マンは、「悪い経営者を解雇する最強の市場原理、すなわち敵対的買収が復活するまで、新たなスキャンダルは続くだろう」と述べている。敵対的買収が経営者を規律付けることはこれまでなかったかもしれないが、その買収自体が今ではほとんど見られなくなった。株式の短期保有が一般的となり、平均保有期間は、70年前には8年間だったのが40年前には3年間になり、今では数カ月単位となっている。英国ではかつてないほどに短期的な業績への圧力が強まっている。投資家は企業の長期的繁栄にコミットできず、多くの問題となっている。つまり、ここでのポイントは、「模範的」な企業統治によって金融システムに有害な変化をもたらす可能性があるということだ。 公開企業が衰退した原因の1つは、過剰な投資家保護と分散的な株主構造である。これによって株主の支配権行使が妨げられ、効果的な企業統治を行えるほど強力な株主が存在しない「所有者不在」の経済を生み出している。 パート3:欧州の経験 英国とは対照的に、欧州の企業の大部分は上場しておらず、単一の支配株主(通常は創業家一族)を擁する安定した所有構造をとっている。ドイツ、イタリア、フランスでは1996~2006年の間、大半の企業の支配権は変化していない。株式の短期保有が支配的な英国のケースとは異なる。 パート4:米国の経験 英国は欧州大陸とは異なるが、米国とも違う。米国は英国と比べ、大口保有の株主数が多い。また、敵対的買収防衛策も多い。グーグルは株式市場上場の際、創業者と経営陣には、10倍の議決権が付与されたクラスB株が発行された。このデュアル・クラス株式制度を持つ企業の業績はより良好で、裁判所は、「ポイズンピル」型の買収防衛策を支持している。買収防衛策は望ましくないと考えられているが、株主から経営を守り、長期的視点から企業経営判断を行うことができる。しかし、英国ではデュアル・クラス株式と買収防衛策は制度的に禁止されている。 パート5:教訓 企業統治で着目すべき点は、コミットメントと支配の適切なバランスをとり、目標達成に向けて企業を構築すること、さらに、起業家精神、イノベーション、公平で公正な社会における企業の繁栄を促進することである。 約20年前に行われた、5カ国の中間管理職を対象とした調査は、株主とステークホルダーのうち、どちらの利益のために企業は経営されているか、を質問した。英国、米国では70%が株主利益のためと答えたが、ドイツとフランスでは同様に株主利益のためと答えたのは、20%、そして日本では3%にとどまった。同じ調査では、経営難に陥った場合、経営陣は配当金と賃金のどちらを削減するかと質問した。米英企業では回答者の90%が賃金を削減すると答えたが、フランスとドイツで同様に賃金削減と答えたのは40%、日本では3%であった。ここから導き出されるのはドイツ、フランス、日本においては従業員、サプライヤー、消費者への忠誠心が高いが、同時に企業はステークホルダーによる収奪に対して無防備な点である。一方、米英企業は株主の収奪に対して無防備である。したがって、ステークホルダーに対するコミットメントと所有者による支配とのバランスが必要だが、これは各社が決めるべき問題である。 パート6:最近の日本の動き 大半のアジア諸国の企業では株式の所有構造は分散的ではなく、同族会社が一般的で、中国の場合は国有企業である。しかし、日本の同族企業は小規模で、むしろ米国や英国に近いようだ。日本の企業は株式の持ち合いを通じて他社の株式を保有している。日本では銀行危機後に株式所有構造は変化し、海外機関投資家による保有比率が増えたが、企業同士の株式持ち合いは変化していない。日本の大企業では外国人持株比率が大幅に上昇した一方、インサイダーの保有比率は低下した。非上場化が進む英国株式市場とは対照的に、日本では上場企業数に変化はなく、株式持ち合いが安定した中核をなしている。 最新の研究は、日本企業の業績が示すように、外国人の株式保有により企業統治が向上し、株式の市場価値が高まることを示している。日本企業の問題は、中核をなす安定的な株式保有構造を維持しつつ、いかにして外国人による投資を奨励し、インサイダーが支配的な構造からその利害を守っていくかである。安定的な株式保有構造がなければ、日本の構造は分散的な英国の株式所有構造のようになるだろう。繰り返しになるが、株主保護とステークホルダーの利益の間でバランスをとることが必要である。私の見るところ、規制によってこの適正なバランスを図ることは十分に可能である。 適正なバランスをはかるという英国に対する私の提言は、特に外部の株主をインサイダーから守るという点で、実際、日本に対してより一層あてはまる。しかし、日本は、株主が支配権を行使できないところまで行くべきではない。日本の投資家保護規則をさらに強化すれば、統治構造に必要な多様性ではなく、画一性を強めてしまう。経営と監督を分離した二層構造の取締役会は、特にインサイダー株主とアウトサイダー株主の利害が相反する場合、ステークホルダーと株主間のバランスを維持する上で有効である。しかし、取締役会がステークホルダーの合意を得た共通の目的を共有できる場合、二層構造よりも単層構造のほうが効果的な場合もある。この単層構造の取締役会は、長期的な業績を重視する日本型制度の有効性を維持できる。さらに、こうした構造の取締役会は、外部株主を保護し、外部株主による投資を促す一方、外部株主によるモニタリングとバランスのとれた強固な所有構造を維持できる。 要点をまとめると、企業統治とは株主利益の促進にとどまらない。企業統治は、成長、投資、効率、公平性の促進に関わる。企業の支配と、ステークホルダーに対するコミットメントのバランスが必要である。行き過ぎた投資家保護は画一性の押し付けになりかねないが、各企業が独自のバランスを獲得できれば、多様性が生まれる。日本はインサイダー支配の制度から、インサイダー株主、アウトサイダー株主双方の利益を維持することで大きなメリットをもたらすハイブリッドな制度へ移行しつつある。 パネルディスカッションと質疑応答 モデレータ: 宮島 英昭 (RIETIファカルティフェロー / 早稲田大学商学学術院教授 / 早稲田大学高等研究所所長) パネリスト: コリン・メイヤー (オックスフォード大学サイード経営大学院教授) 伊藤 彰浩 (キリンホールディングス株式会社取締役) 大場 昭義 (東京海上アセットマネジメント株式会社代表取締役社長 / 経済産業省「コーポレート・ガバナンス・システムの在り方に関する研究会」委員) 宍戸 善一 (一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授) 冒頭プレゼンテーション 宍戸 善一 (一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授) メイヤー教授は、株主の利益だけではなくステークホルダーの利益をも最大化する方向でガバナンスする企業がトラストファームだと提唱しており、英米企業が株主価値最大化に偏り過ぎていることを批判したが、日本企業はほとんどがトラストファームである。日本企業では会社法や各ガイドラインにおいて企業価値最大化がルールとされているため、経営者がステークホルダーの利益を重視することが可能になっている。一方、株主の利益がないがしろにされ、外部株主によるモニタリングが弱いという指摘もある。バランスを取るために、伝統的な機関投資家が触媒的なアプローチで日本の経営者に対して働き掛けていくとともに、アクティビスト投資家が問題点の発掘など補完的な役割を果たすことを期待したい。また、取締役会規制も、各企業がその性格に応じて最適な取締役会構成を選択できる余地を残しておくべきだろう。 大場 昭義 (東京海上アセットマネジメント株式会社代表取締役社長 / 経済産業省「コーポレート・ガバナンス・システムの在り方に関する研究会」委員) 今、日本企業でガバナンス上の問題となっているのは「稼ぐ力」である。世界の株式市場で30年間も低迷しているのは日本だけだ。政府の「日本再興戦略」2014年改訂版でも、「稼ぐ力」を取り戻すべく、企業統治の強化が強調されている。日本企業が意識しているステークホルダーは従業員とお客さまと銀行であり、投資家は相対的に劣後しているのが実態だろう。日本企業はこの4ステークホルダーのバランスを取り、持続的に成長できる社会を目指すことが期待されている。一方でこの30年間で投資家にプラスのリターンをもたらした企業は200社ほどあるが、オーナー系企業が目立つ。オーナーシップと株価のパフォーマンスには相関性があるかもしれない。 伊藤 彰浩 (キリンホールディングス株式会社取締役) 当社の取締役会は、内部の5人と社外取締役の2人からなっている。近年、社長の諮問機関としてインターナショナル・アドバイザリー・ボードを設けた。ここにはグローバルでのマネジメントの経験者に入ってもらっている。また、M&A戦略の資金の調達手段として資産流動化プロジェクトを走らせた。その一環で持ち合いの一部解消にも着手し、現時点で発行済み株式数に占める持ち合いの割合は20%以下となった。企業側も投資家側もいかに中長期的な成長を果たせるかという視点で課題を確認する場がIR(インベスターリレーションズ)であるべきである。企業の業績予想開示は、成長戦略やグローバルスタンダードの文脈の下で再検討されるべき時期に来ているのではないか。 ディスカッション 宮島英昭 メイヤー教授、全般的なコメントやこれまでの講演者への回答などをお願いしたい。 コリン・メイヤー 宍戸教授、大場氏は基本的に私の発表に同意されていたと思う。企業統治とは、異なる当事者間のバランスを取ることだ。日本はステークホルダーを重視し過ぎ、米国と英国は株主を重視し過ぎている。宍戸教授は、ヘッジファンドが日本でバランスをとるのに役立つと指摘されたが、ヘッジファンドがビジネスを行うのは難しい。また、西欧型のモニタリング・ボードは経営を監視するというよりも支援するものである。対立がおこった場合、経営陣は取締役会での信頼を失う。伊藤氏は、日本企業が株主と長期的な繁栄を重視することでいかにリバランスを図っているか述べられた。統治構造と、非業務執行役員および取締役会の役割はきわめて重要である。 宮島英昭 日本の場合、投資家の役割を強化する上で、企業とその統治構造のモニタリングは誰が行うべきか? コリン・メイヤー 成功している企業は、支配的な長期株主によって監視されている。長期株主が会社の目的、価値、ステークホルダー間のバランスを決定し、問題が生じたときに介入する。外部株主は資本を提供し、株価に影響を与えるため、支配株主にとって重要である。 宮島英昭 日本の特異な事業環境を考えると、外国人投資家は監視機能を十分に果たせるか? コリン・メイヤー 外国人投資家はコミットせず、日本市場が低迷すれば撤退する。彼らは、自らの利益が守られているかどうかを示すが、支配権はない。英国では、外国人投資家は支配権を行使し、短期主義に陥る。バランスが必要である。 宮島英昭 日本では、短期投資家はそれほど影響力をもたないが、国内の機関投資家は影響力を行使できる可能性がある。英国ではこのような可能性はあるのか? コリン・メイヤー ないと思う。機関投資家は、四半期比のリターンにしか興味のないファンドマネジャーに支配権を委ねている。日本は低リターンだが、構造は安定的で、外部株主の利益重視の方向にあり、良いと思う。英国の場合、コミットしている長期機関投資家に支配権を戻すことが非常に難しい。 宍戸善一 日本企業は、かつては株式持ち合いの慣行により株主へのリターンが制限され、外部株主は企業統治から排除されていた。最近影響力を強めている機関投資家は、各企業の特徴を考慮せずに、モニタリングを行おうとしている可能性がある。これは懸念事項だ。 宮島英昭 企業がお互いの株式を売らないことで同意している場合、ある種の株式持ち合いが生じ、株価が低くなる。この状況にある企業は、どうすれば適正に管理、規制できるのか? コリン・メイヤー 企業は株価を上げるためだけでなく、経済活動と成長を高めるために存在している。日本企業はかつて株式持ち合いを重視していたが、銀行危機後、企業は株式市場からの資金調達を余儀なくされた。これにより、取締役会が株主重視の方向にリバランスを図るという前向きな状況が生まれた。二層構造の取締役会制度は、統一的なビジョンを欠く対立的な取締役会を擁する一部の日本企業にはメリットがある。 宮島英昭 株主議決権とデュアル・クラス株式は日本で成功するだろうか? コリン・メイヤー 日本には起業家精神が必要であり、創業者の支配権が維持できるため、デュアル・クラス株式は起業家精神を促進する。古い企業の場合、インサイダー株主がより一層支配権を強めるため、デュアル・クラス株式を採用すべきではない。 宮島英昭 日本は、コンプライ・オア・エクスプレインの原則の導入を通じて、社外取締役を会社の取締役会に入れるべきであるとしている。どのような形態の企業統治を行えば、日本企業のプラスの面を維持しつつ、外部株主に支配権を移行できるのだろうか? コリン・メイヤー コンプライ・アンド・エクスプレインは、法律ではなく提案であるからこそうまくいっている。しかし、英国では全員が株主に譲歩するため、成功していない。株主がそれほど強くない日本では、コンプライ・アンド・エクスプレインは有効だと思う。インサイダー株主が支配権を持つ場合、単層構造の取締役会構造は、従業員と外部株主への配慮が行き届いている限り、望ましい。単層構造の取締役会に対立がある場合は、二層構造の取締役会制度が有効である。ただし、公益事業や金融システム上重要な銀行といった国益に関わる企業にとっては、公益と株主利益を守るトラストボードが効果的である。 宮島英昭 会場からの質疑応答に移りたい。 質疑応答 質問1 :アベノミクスの下での企業統治をどう評価するか? 大場昭義 アベノミクスの改革による株価への影響はゆっくりであるが、長期的には効果が得られるだろう。日本版スチュワードシップ・コードは、企業と投資家の望ましい関係を作ることに貢献すると思われる。良好なガバナンスは、新しいJPX日経インデックス400の構成銘柄に採用されるための要件でもある。 宍戸善一 規制は多過ぎると良くない。日本におけるコンプライ・オア・エクスプレイン改革によって企業は外部の意見を考慮に入れるようになるため、長期的な成長に貢献できるだろう。 伊藤彰浩 日本の株主重視の傾向はここ5年で高まっている。日本企業の社外取締役は長期的成長の促進を重視しなければならない。 質問2 :英国と米国における非上場化の動きは、未上場企業に悪影響を与えるか? コリン・メイヤー プライベート・エクイティはより良好なガバナンスを行うため、上場企業の減少はおそらく良いことである。しかし、非公開化した企業は借入以外の資金調達手段を失う。非上場化の動きは、過剰な規制によって企業の上場意欲を失わせてはいけない、という警告である。 class="right">この議事録はRIETI編集部の責任でまとめたものです。 イベント シンポジウム ワークショップ BBLセミナー 終了したセミナーシリーズ 情報発信 ニュースレター 更新情報RSS配信 Facebook X YouTube 研究テーマ プログラム (2024-2028年度) プログラム (2020-2023年度) プログラム (2016-2019年度) プログラム 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